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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第248話「人と違う所」【2017年3月】

Sくんのこと 弟Aくんのこと ママのこと

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その昔、母が「この子は耳が聞こえ過ぎている」と言い出して、聴力検査へ行った事がありました。確かに広範囲の音域や人間には聴こえないはずの音まで拾っているとの検査結果が出ました。

それまで私は、かなり遠くの音や、隣の家のテレビのスイッチが入る音を、「みんなにも大きな音で聞こえている」と思っていましたが、その場に一緒にいる誰にも「聞こえていなかった」と知りました。

「耳がよく聞こえている」、その事で私が何か得をしたか…と言われると何もなかったような気がしています。(ピアノを長く習ったけれどそこにも生かせてはいなかった…)

かいじゅう兄弟も、音や匂い、感触に対して特別敏感なところがあります。

昔、地下鉄の中でAくんが”カーブの轟音の所”で泣き叫んだり、Sくんが”服のタグや質感を気持ち悪がって”服を脱いだり。幼い頃は言葉もはっきりせず、私の方が理由が分からず困った時期もありました。

今は理由が分かるので、嫌なものは避けて、混乱を回避しています。

特製の中の何が将来に繋がるか、メリットになるのかは分かりませんが、「人と違う所は、将来、強みになる可能性を秘めている」と思います。

私自身はたくさんのお稽古事をさせられてしんどい子供時代を送っていたので、かいじゅう兄弟にたくさんお稽古をさせる事はありませんが、違いを伸ばせるように、見守って行きたいと考えています……。

つづく。

第247話「進むべき方向」【2017年3月】

Sくんのこと 弟Aくんのこと ママのこと

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半年かけて行われたSくんのグループOTが終了し、これで終わりかな…と思っていたら、継続になりました。

学校以外にグループでのやりとりを学べる場所は必要だと感じているので、”続けられて良かった”という想いと、”まだケアやサポートが必要なんだ”という想いとで、複雑な心境になりました。

弟AくんはOTは訪問のみでクリニックの方は一旦停止。週2回通ってきた療育を週1回に減らす事になりました。こちらもまた複雑な心境です。

思い返せば、Sくんの時代は週2回行きたかったけれど、空きが無くてなんとか週1通わせてもらっていました。Sくんの時代よりAくんの時代はサポートが広がっていると感じます。

Sくんは来年度小学4年に、弟Aくんは年長になります。それぞれに、発達の凸凹をケアしながら、適切な環境にいて心を整える時間と、新たな環境に挑戦し社会に馴染む為の訓練をする時間とが必要だと思います。

私にも確かに発達障害があるのですが、当時は検査も分類もサポートも無かったように記憶しています。虐めにあったり、馴染めなかったり、困ったな…と思いながら誰にも相談できないまま大人になりました。自分でなんとか工夫してここまで生きてきてしまいました。

そう思えば、幼い時から様々なサポートを受けられているかいじゅう兄弟は、私の時よりは、生きにくさを長く抱えずに済むのではないかな?と思っています。

今、与えられている環境(特にSくんの小学校)は決していいものではありませんが、私はかいじゅう兄弟の未来は今よりずっと良くなると信じています。ただただ良くなるだけだとさえ感じます。

いつまでサポートを受けていくのか、常に複雑な想いは抱えていますが、七転び八起きしながら進む方向が定まってきたような気がしています……。

つづく。

第246話「優先順位」【2017年3月】

Sくんのこと 弟Aくんのこと

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かいじゅう兄弟を淡々と育てながら、「一番大切な事は何かな?」とよく考えています。

「学校や保育園は行けた方がいいな」と思う時もあります。でも行き先の環境が悪過ぎる時は、そんな所へ行けた方がいいわけはありません。

「勉強をちゃんとできた方がいいな」と思う事もあります。学校では三年生になってやっと特別支援が始まった感じでしたが、もう一年以上の学習の遅れが出てからのスタートでした。自己肯定感なんか保てないし…、支援されてる宿題はズルいと言われるし…、結局、Sくんが揉まれならも、勉強は自分のペースで歩んでいいんだと思えるのに一年かかりました。心が強くなったんだと思います。

「心が元気な方がいいな。そうじゃないと何も身に付かない。」と思う事もあります。不登校になって、心を休める為に勉強をさせないでゆったり過ごすのか、勉強をある程度のペースでさせるのか迷いました。二年の時は休ませる事を優先しました。三年の時は読書やお手伝いを通して、少し勉強にもつながるように過ごしました。

一番は心の健康で、二番が体の健康、三番が自分が好きな事で、四番目が人との関わり合いで、五番目が勉強かな……。今はそう思っています。その為に適切な場所を選択した方がいい。

悪過ぎる環境にいて、そこから学ぶ事もあったとは思いますが、心や体がボロボロになってしまったら何にもならない。あともう少しでSくんの三年生が終わります……。

つづく。

第245話「隠蔽」【2017年3月】

PTAのこと Sくんのこと

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学年末の学校行事で、学級目標を達成できたかどうかの発表会がありました。Sくんは不登校期間で欠席しました。

学級目標は”温かいクラスを作ろう”。Sくんにとってこのクラスはけっして温かい物ではありませんでしたが、発表会では、Sくんの台詞があって、温かいクラスにする為に努力して、温かいクラスが出来上がったという内容でした。

Sくん:「僕は虐められています!もう限界です!このクラスはあったかくなんか無い!って、発表会で僕が言ったら、台詞と違うから怒られるかな。」

虐められて学校へ行けなくなっていたSくんは、嘘の台詞の練習をさせられるのも、全校生徒の前で発表するのも「嫌だ」と言いました。

年度末はPTAも総会があります。行事で、障害児の見守りの為に来ていた保護者(パパ)やヘルパーさんがPTA活動に無理矢理参加させられた事について、学校側に再発防止を訴えましたが、PTA総会でそういった事が話し合われる事も、問題に上がる事もありませんでした。

形だけの発表会、形だけの総会。「そんな事はなかった」、そういう風に処理して、みんなの大きな時の流れは流れて行きます。

ちなみにSくんの不登校もクラスのみんなには酷い風邪を引いていると報告されていました。一年前、一ヶ月におよぶ風邪って??今回も10日程でしたが、もちろん風邪なんか引いていません。

隠蔽。いいクラス、いい学校のふりをして、時を流していく。本質に目を向けないで、心が盲目のまま生きていく。改善は皆無。だから、どんどん悪くなる。そんな環境からは距離を置くしかありません。

私はPTA免除で一切関わらない選択をする、Sくんは学校へ行かない選択をする。今はチックや強迫性障害などの二次障害が出ながら学校へ通っているSくんですが、あんな所へ行く意味あるのかなと感じています……。

つづく。

第244話「本の読み聞かせ」【2017年3月】

Sくんのこと

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2回目の不登校の時から始めた本の読み聞かせ。最近、東田直樹さんの「自閉症の僕が飛びはねる理由-会話のできない中学生がつづる内なる心」を読み終えました。

(Sくんはもうすぐ四年生になりますが、図鑑以外の字が詰まった本を自ら読む事はありません。だから、内容が精神年齢に合っている本を、私が読んであげる事にしたのです。)

感想を多く語る事はありませんでしたが、読み終えてから2時間くらい泣いていました。響くものがあったのだと思います。

Sくんはたまに過去の自分からのメッセージを私に届けてくれる事があります。初めて◯◯した時はこう思っていたけど”言葉が見当たらなかった”、感動したけどあの時は”まだ考えがまとまらなかった”とか、そんな感じです。

だから、この本の感想もいつか未来のある日に届けてくれるかもしれません……。

つづく。

第243話「ずっと遭難している感じ」【2017年3月】

ママのこと

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あちこちに障害があって、何かと不自由な身体ですが、一番の困りは、腸がまともに機能していない事。意図的に大量の下剤を飲んで手でお腹を押して出すか、外出日に対して二日前から絶食してお腹を空にしてから薬を止めるか、どちらかしかありません。どちらも吐き気や目眩、激痛を伴います。

理想は一日〜二日の間に通院や面談の予定を続けて入れて、次の外出までに五日自宅療養期間にします。が、だいたいイレギュラーが発生して自宅療養ができないまま次へ。するとずっと絶食していている形になります。

月に半分以上食べていないのに、体重は減らない!これは身体が飢餓状態になっているんだと病院の先生が教えてくれました。ずっと遭難していると身体が思い込んで、たまに食べれる時にたくさん栄養を吸収するようです。

今の薬もたくさん試した中で一昨年に出会ったものでした。副作用の腹痛や吐き気は酷いけど、リズムは作れる。今はこれしかありません。なぜなら、他のは今までに飲み過ぎてだんだん効かなくなって、量を増やしても効かなくなって、止めたからです。

いつまで通院できるかな?とふと思います。介護認定が要介護4、つまり施設に入ってる人もいるレベル。いつか、訪問に来てもらう形か、施設に入らないとならないだろうなと思います。

二番目の困りは歩く事。なんとかゆっくり歩けますが、あちこち痛いまま、そしてとても疲れやすいです。足に筋肉がつかないので足だけ細く、足首は長靴か豚足みたいに浮腫んで、歩くと元々曲がっている足の指から血が出たり爪が割れたりして血豆になります。階段は無理なので遠回りしてエレベーターを探します。どうしても体力の限界で歩けなくなったら、タクシーに乗って家に帰ります。タクシー代がバカにならない(汗)。いただいている手当が、タクシー代、医療費、医療用具費用に消えていき、マイナスになりそうでハラハラします。いつまで自分の足で通院できるんだろうか、ふと思います。

脊椎や背骨は途中までしかなくて、今も大きな腫瘍が様々な神経を飲み込んだままです。歩ける事が奇跡、脳に障害がない事が奇跡、シャントも入っていないから定期的な手術もない、なんとか自立して生きているから大丈夫、と、病院の先生は言うけれど、ふと、十年後、二十年後を思うと、なんで生きているんだっけという虚無に襲われます。強く生きたいと思うわけでも、強く死にたいと思うわけでもなく、今を感じたり、将来を想ったりすると、ふと、何もない感覚に陥るのです。

全部、内部疾患だから誰も知らない。私は元気そうに見えている。これが三番目の困りです。だから、話した所で信じてはもらえない、病院の先生と私しか知らない、私の秘密です……。

つづく。

第242話「Sくんの、口は災いの元」【2017年3月】

Sくんのこと

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学校へ再び通い出してから、片目の瞬きが止まらないSくん。チックです。明らかに…学校へ通う事がストレスになっている…。

集中的な暴力は先生が押さえてくれているようですが、暴言はある様子。しかし、Sくんも空気が読めずに発言したり、急に上から目線になったり。相手がカチン!と来るような事があるようです。

丁度それは家の中のパパとSくんの関係に似ています…。

先生方は一つずつの場面を時系列で確認して、それぞれに必要な指導をしてくださっているようですが、Sくんに被害者意識が強く、記憶が時系列ではないようで。何年も前の同じような記憶がトラウマとして残っていてそれを語り出したり、誰が、どこで、何をしたが分からなくなったりするようなのです。相手のお子さんが自己申告してくれてやっと指導できる状態のようです。

本人は、「H先生のLD等通級教室をとりたいから、普通学級に籍を置きたい、育成学級には逆交流へ行きたい」との希望。では、H先生が担当ではなくなったら…?とか、また普通学級で虐められたらお休みする…?とか、いっそのこと、育成学級へ移籍してみる…?とか、色々考えなければなりません。

いずれは育成路線に移らなければならないSくん。なぜなら、この学力の遅れ、コミュニケーション力の無さで、中学が普通学級という事はあり得ないからです。六年生になったら必ず育成所属にしておかなければならない。(パパはこの点に関して反対しています。)

移籍のタイミングをギリギリの六年生になる時にする為に五年の夏に申し出るのか、五年生になる時にする為に四年の夏に申し出るのか。どうしたら一番Sくんにとって良いのか。ここから半年ほどで判断しなければなりません……。

つづく。