かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第239話「あの子はアーティストだから。」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

その昔、私の部屋は床が見えないくらい散らかっていました。なんでも下に置いていて、積み重ねて、とにかく物が多い。綺麗に整頓しているのは、大量の漫画棚だけ。絵のコンクールで稼いだ図書券で部屋を漫画だらけにしていたのです。遊びに来る友達は紙袋持参。散らかった部屋で漫画を読んで、あとは借りて帰るのです。

久しぶりに来る親族は、部屋が汚すぎてよろめきますが、母が必ず言うセリフがありました。

母:「◯◯はアーティストだから。いいの。そのままで。」

一応、作家になる為の大学へ進学し、細々と内職のように仕事をもらっています。偉そうにアーティスト!なんて言える人物にはなれませんでしたが、母は、私の片付けられない様子を、アーティストだから!と折り合いをつけていたのです。

今は主婦になって昔よりはマシな部屋に暮らして、偉そうに、かいじゅう兄弟に「お片付けしなさい!」と言っています。

頭の中に、母の「アーティストだから!」が響きます。ふと思い出した昔話でした……。

つづく。

第238話「弟Aくんが無視している…ように見える」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

最近、弟Aくんへかけた言葉が、風のように消えていると感じるようになって来ました。

今までは、声かけから即座に動いて、せかせか、次々と、ADHDらしい動きをして物事を片付けていくAくんですが、たまに、じっと動かなかったり、反応しなかったりするのです。

お家に訪問してOT(作業療法)をしてくださる先生によると、「よく考えて返事をするようになっているのでは?」との事でした。先生がされる1時間のOTの中でも、問いかけに反応がないそうなのですが、しばらく待っていると返答がある事もあるようなのです。しばらくとは、20分〜30分後だそうです。

先生は粘り強いなぁと感じながら、私もゆっくりとAくんの返答を待っていてみようと思いました……。

つづく。

第237話「Sくんにはズル賢さがない」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

昨日もまたSくんは、お腹を殴られて、足を蹴られて帰って来ました。Sくんが言葉による嫌がらせに応じなくなって来たから加害者側は手を頻繁に出すのか、ただ単に長引いている虐めがエスカレートしているのか……。

Sくんは真っ直ぐで不器用な人です、とにかく失敗が多い。そんなSくんを見て育った弟Aくんは、器用な人になりました。失敗を恐れて、「わかりません」も言えないし、失敗を隠すようになりました。

Sくんは嘘がつけなくて、定型の人の繰り出す嘘を信じてしまって、バカにされたと泣いて、バカにした人の心の内を必死に問います。向こうはふざけただけだったり、大した事じゃないってビックリしたり。先生も「冗談だよ、慣れなさい」って言うそうです。

ズル賢くなれれば、もっと人生は楽かもしれません。

Sくんは自分の事も掘り下げがちですが、他人の事も自分の事のように悲しんだりします。優しさもあるのかもしれないけれど、たぶん、障害の特性として、「人との境界線が分からないのだ」と思います。だから、思わず、抱えすぎる。

Sくんは真面目なのです。真剣に、様々な問題を見過ごせないでいる。だから、「ほっとけばいい」とか「気にすんな」とかの定型用のアドバイスは心に響かないし、そもそも意味も分からないと思います。

Sくん:「熊本でも虐められたやん……それで京都へ引っ越したやん……。熊本のおじいちゃんやおばあちゃんに毎日会えなくなったやん……。ぼくはそれが悲しかった。ママはどう思ってるの?」

私:「熊本のおじいちゃんおばあちゃんに毎日会えないのは申し訳ないと思ってる。なるべく熊本へ旅行できるように頑張るよ。ママはあの辛い目にあった時、ズル賢いから、”あ、これで京都へ帰れる”って心の中で思ってた。あそこに住んでた人達はママ達に”ここから出て行け!”って言ってたけど、熊本地震が起きて、引っ越しでこの地震を避けたとママは思ったよ。」

Sくん:「ぼくはそんな風には思えない。◯◯ちゃんも◯◯くんもみんなお家がなくなってた。きっとみんな地震が恐かったと思うし、今も辛いと思う。ママは……悪魔なの?」

Sくんからしたら、私のスタンスは悪魔とうつってしまったようでした、笑。悪魔かもしれません、でも、そのくらいに構えていないと、確実に潰されていたと思います……。

つづく。

第236話「これは誰の願いなのか」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

少なからず私にもパパにも発達障害があると確信していますが、発達障害のあるかいじゅう兄弟を育てる中で、「これは誰の願いなのか」、繰り返し確認しています。

なぜなら、私自身、人との境界線が本当のところは分かっておらず、自分ができる事は相手もできるはずだと思いがちで、自分が分かる事は相手も理解できるはずだと思いがちだからです。

「人は人、自分は自分で、全く関係はない」これを幼い時から繰り返し自分に言い聞かせて、境界線に対する感情をコントロールして来たつもりですが、我が子の事となるとまた違ってしまいます。

久しぶりに通い始めた学校でも、朝の会の前にいきない3人から1発ずつ頭を殴られて、たんこぶができて帰ってきました。怖くて先生には言えなかったそうです。泥のような感情が揺さぶられました。

……Sくんが虐められた時や、不登校の時、私達は必ず先にSくんの想いを聞きます。聞いてから、物事を整理して、代弁者として行動せねばと努めます。

参観での9歳児からの嫌がらせに、私自身がカチンと来たのか、母親の事を言われて人形のようになるSくんを見てカチンと来たのか、あの時、久しぶりに分からなくなりました。ただ、この場を仕切るのは担任の先生だから、私は出る幕ではないし、一切無視だな、それだけを感じました。

幼い時から、自分は他人と自分の境界線が分かりにくい方で、それがみんなとは違うと分かって生きてきたので、自分をいつも空から俯瞰で見ていて、感情をオフにしてきました。あの時、顔は普通の表情を保っていたかもしれません。

Sくんは発達障害があるけれど、いつか、そういう風に進化するかもしれないと思います。それは定型でいう成長とは違う、生きにくさを軽減する術なのかもしれません……。

つづく。

第235話「雨が降らないと、地が固まらない」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

再びSくんが学校へ行き始めました。準備が整ったからです。音楽と体育は普通学級と合同、他は育成か週1の通級へ行きます。

「”通級を取る為に所属は普通学級で、できる限り育成へ逆交流する”、この方法でしか、クラス替えのない、普通学級に14人しかいない中では、不登校から復活する事はできない」って児相の先生が校長先生へ直接話していたのが、1回目の不登校があった2016年の4月……。一年経ってまた不登校になってやっと、この形が実現するのです。

ちなみに、「この子には育成への逆交流が必要」って、クリニックの先生がウィスクフォーの検査結果と詳しいお手紙を書いてくれたものを渡したのが2015年9月……。虐められて不登校になってからやっと2016年5月に逆交流開始。

遡れば、「この子には特別支援が必要」って熊本時代の療育の先生が学校宛にウィスクサードの検査結果と詳しいお手紙を書いてくれたものを渡したのが入学時、2014年4月……。特別支援が始まったのは、大幅に学力に差が出てついていけなくなって、通級を利用し始めた2015年9月。

つまり、だいたい、なんでも、雨がドシャーッと振らないと、実施してもらえないって事です。先手は打ってもらえない。

まるで、ストーカー被害を受けてるのになかなか助けてもらえないような。虐められて自殺してから問題発覚、後、まだ尚、問題を小さくするような、隠蔽するような。目を背けまくるのです。

私や、Sくんに関わるお医者さんや先生方はこうなるって、ダメになるって分かっていたから、色々検査して、お手紙を書いて、面談をして……。できる事は全部してくれていたと思います。

でも、残念ながら学校側は、子供がダメになる様子を確認してからでないと動きません。”そういうものだ”とこちらも捉えて、”対策”を組まないとなりません……。

Sくん……大丈夫かな……?

つづく。

第234話「白旗をあげながら見守る」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

なんとか学校側との調整の結果、一部の科目以外は育成へ逆交流と週1の通級へ通う形で折り合いが着きました。虐め加害者になるべく会わずに済む形で、Sくん本人も納得しています。とりあえずこれで学校へ行ってみる…。
(※Sくんが一番重要視している通級は、普通学級所属でないと受けられない。)

今回は虐めが原因のお休みでしたが、自閉症があって、学習障害もあって、発達は6歳半〜14歳まで開きがあって、心が不安定なSくんが、定型のお子さん達に混じって普通に暮らせるわけはないのです。

「学校へ行きたい、けれど行けない」、そんな葛藤の中にいる「Sくんの考え」を聞きながら、最善の策を学校へ「お願いする、代弁する」のが私の役目かな…と。ある意味、「学校へ行きにくい、毎日が生きにくいって分かっているよ」と、白旗をあげながら見守るような感覚です……。

つづく。

第233話「どうやったら虐められなくなるのかな?」【2017年3月】

ご訪問いただき、ありがとうございます。読者登録をしてくださった方、星をくださった方、メッセージをくださった方、ありがとうございます。ありがとうを糧に更新を続けていきます。これからもよろしくお願いいたします。

* * *

残念ながら、一旦つけられた刻印は、なかなか消えません。

自分が虐められなくなる時は、クラス替えがあってパワーバランスが変わった時か、ターゲットが代わった時か。あとは、中学に上がるタイミングとか、思い切って引っ越すとか。勉強して受験して私立へ行くとか。

たまに、虐めを繰り返した主犯が一斉に虐められるパターンもあります。

ただ、自分が虐められている事を気にしなくする方法はあります。

好きな事に、耳が聞こえなくなるくらい没頭する。心の痛みが痛くなくなるくらい没頭する。眠るのも忘れてずっと没頭します。

つまり、心を強くするというわけです。

Sくんの心が弱っている時、私は、好きな事を思いっきりする手伝いや準備をします。

今日も私は絵や映像の仕事をして、Sくんは絵を描いたり、動物図鑑を読み漁っています……。

つづく。