読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第8話「嫌がるSくん。熊本の療育施設のペアレントトレーニングの世界」【2013年8月〜12月】

セミの声が重なって、何匹いるのか分からない。暑くて長い夏。保育園以外にSくんが嫌がっていた場所、それは熊本の療育施設でした。
(先生たちの事は大好きでした!)

療育施設は二階建てのお家で、一見それとは分からない雰囲気でした。室内は完璧に構造化され、グループ療育で学習を受ける形でした。親は子供の様子を観察してシートに個別評価して行きます。個別指導計画書の作成や、特別支援の在り方、ペアレントトレーニングに力を入れている施設で、勉強会では94年のサラマンカ声明から始まり、障害者の権利や歴史についても勉強しました。

就学までに八ヶ月を切った状態で始まった療育。最初の一ヶ月間(9月)は、隣の公園でプール遊びをしていました。最初にインプットした事を後から修正しにくい特徴があるので、今のうちから、おチンチンを見せずに着替えをする練習をしなければならない事、プールではしゃいでしまっても指示出しに従えるようになる事、この二つが軸になっていました。

着替えの方は、ゴム付きのタオルで隠して着替えるようになりましたが、指示出しの方はまったく届かず。楽しくなってお友達を叩いてしまったり、水を嫌がる子に面白がってかけ続けたりする姿が見られました。

次の一ヶ月間(10月)は、小学生になる練習。個別に区切られた空間で、時間にそって課題をこなしていきます。縦にタイムラインで繋がれた絵カードを、一つできるごとにチェックしに行きます。

みんなで椅子に座って話を聞く。

個別スペースで椅子に座ってひらがなを書く。

みんなでおやつスペースでマグネット式のひらがなプレートを注文表にはりつけて…

おかしやお茶をもらう。

帰り支度をする。

よくできましたのシールをもらう。

このような流れでしたが、Sくんは家中を蝶々のように走り回り、決められたレールに乗ることができませんでした。また、Sくんはひらがなに一切興味がなく、椅子に座って課題をすることをエビ反りになって拒みました。

その次の一ヶ月間(11月)は、数字の学習。流れは前の月と同じで、おやつの時間とシールをもらう時だけは椅子に座るようになっていましたが、通うこと自体を大変嫌がっていました。

また親に対しては、指示出しが届かない時でもそっとサポートしてやれるように、親は心がけるように言われました。例えば、カバンを持たずに走り出しそうになったら、先に手にそっとカバンを渡してあげて、失敗しないようにしたり、間違った事をしてしまっても大きな声で注意したりしないという事でした。

様々な勉強をさせてもらう中で、私はSくんが、「こんな状態で、保育園ではどうしているんだろうか?」「小学生になれるんだろうか?」と、様々な不安が浮かび、手元にある個別指導計画書(AからC、ダッシュを含み6段階で評価)には、すべてCと書いていました。

保育園の先生に聞くと、「人形のようにぼーっとしていて、周りに迷惑をかけているわけではないから、そのままにしている」との事。療育では思いを発散してしまい、手がかかる状態に…。小学校については、育成学級へ行くんだろうなぁと薄々感じ始めていました……。

つづく。