かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第18話「Sくん、作業療法(OT)の開始」【2014年1月〜】

地下鉄に乗ってしばらく行った先にある個人クリニックでは、Sくんの作業療法(OT)が始まりました。Sくんはもともと乗り物が好きで、乗ったら人形のように大人しくなるタイプでしたが、地下鉄の真っ黒な窓の向こうを見つめて、ときおりニコッとするので、私は、何を空想しているんだろう…?と思って、それを見つめていました。

作業療法は2週間に1回。クリニック内の広いお部屋で、Sくんは作業療法士の先生と一対一で様々な運動をしました。

以前に、主治医の先生からは、”発達障害のあるお子さんは筋肉のつき方にもばらつきがあり、左右バランスがとれていなかったりして、よく転けたり、不器用だったりする事がある”というお話があり、Sくんにも思い当たる節がありました。

とにかく運動が苦手。得意な事はお部屋の中でできる事ばかりで、外に出たがりませんでした。年齢的に周りのお子さんは外で遊びたがるのに、Sくんは、「ぼくは見ているだけでいい」と言ったり、ルールのあるゲームはそのルールを覚えられなかったり。うまくいかない経験がそのまま自信を奪っているようで、なんとか、作業療法の中で、運動が少しでも得意になれば、楽しい事が増えるかな?と期待していました。

積み上げた箱をボールで倒したり、天井から吊られた状態でぬいぐるみを救出しにいくゲームをしたり、始めはテンションが上がって先生からの指示出しが聞こえなかったり、ルールを変えてしまったり、お喋りが止まらなくなったりしていましたが、長く続けるうちに、設定通りに課題がこなせるようになりました。

後に、Sくんは、縄跳びや跳び箱ができるようになったり、高いアスレチックにも安全に登れるようになります。振り返ると、昔は、不安が勝ってしまって、挑戦する事を躊躇していたのだと思いました。何かができるようになる!という事は、その他の何かもできるようになるかもしれない!という気持ちを膨らませてくれる、Sくんは体を動かしながら、筋肉以外に、「自信も身につけていたんだ」と感じました……。

つづく。