かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第42話「母の死」【2015年2月】

2月18日の夜、Sくんが大好きな京都のばぁばが亡くなりました。私にとっても、Sくんにとっても、初めて迎える大切な人との死別でした。

膵臓癌の長い闘病生活は2年8ヶ月続きました。最初は余命2ヶ月と言われていたけれど、「余命5年だよ!」と私は母に嘘をついて、母は「Sくんの小学校の卒業式までは生きたい!」と、頑張っていました。

『もう頑張らなくてもいいんだよ…。』抜け殻になった母に対面して、私はそう思いました。もう、痛くないし、苦しまなくていい。安らかな 顔を見ていたら、「母が痛みから解放されて良かった」と感じました。

私は幼い頃から、手術の痛みや理解のない出来事に苦しんで来たけれど、いつも、「私はお母さんより先に死ぬんだから、お母さんの死をこの目で確かめなくていいんだから、幸せだ」と思っていました。

でも、私は母より長生きしてしまい、目前の、母の抜け殻と対面しました。「お母さんが死んだらどうしよう。」と、子供の頃からそればかりが恐くて、夢にもよく見ていました。でも、気がつけば、私は生まれつき障害があったけど自立していて、母が死んでも何も困る事はありませんでした……。

ただ、寂しいだけでした。

振り返れば。Sくんの発達障害も、おばあちゃんの膵臓癌が分かってから、Sくんの様子に変化があって、病院を訪ねた所から始まりました。後半は私達も京都へ引っ越して、そばにいられました。長くて短い2年8ヶ月でした。母の前では泣くまいと、ずっと止めてきた涙が溢れました……。

つづく。