かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第103話「集団の中にいる重要性」【2016年10月】

夏休み明けから再び不登校の兆しがあるSくんです。朝の様子でなんとなく分かります。先日、こんな事がありました。

掃除中にオーバーヒートを起こし、フリーズしてしまったSくんに、クラスメイトが「掃除しろ!」と繰り返しましたが、Sくんには届きません。腹が立ったクラスメイトはSくんの背中を後ろから思いっきり蹴り、Sくんは床に転けました。

Sくんは「いきなり後ろから蹴られた」というところからしか記憶がなく、担任の先生は「蹴ってはいけないと注意はしたが、蹴った方にも理由があった、相手も謝って、Sくんには許すように話した」と言うのです。背中は青くなっていました。

私:「先生、この小学校では、掃除しない子がいたら蹴っていいんですか?」
担任:「いえ、違います。でも、Sくんの様子を子供に理解させられないし、このクラスはこんな感じで。Sくん以外も嫌がらせされたり、蹴られたりが日常茶飯事です。みんなは慣れてしまったから、Sくんにもこの雰囲気に慣れて欲しいんです。」
私:「いや、それはおかしいですよ。そもそも暴力はいけないという事をもっと指導しなければならないし、やったもん勝ちで、やられた方に許せ、慣れろ、我慢しろはおかしいです。再発防止のために、掃除時間も先生が見ているか、Sくんが掃除する場所を育成学級にするかしてください。」
担任:「忙しくて掃除時間を見る事はできません…。普通学級所属なので、掃除場所を変える事はできません…。」
私:「では、Sくんが我慢する以外の方法で再発防止してください。」

こんな感じで。面談や電話、連絡ノートのやりとりの中で、学校側とのズレ感の修正を行うわけですが、振れ幅が広ければ広い程、修正に時間がかかり、少し分かってきた頃には年度末、先生がバラバラと入れ替えになる現実があります。(そして引き継ぎはほとんどされない)

毎日のように”嫌な事があったから先生に話した”、”保健室で本を読んで過ごした”と、なんとか今、ストレスが満杯にならないように自分でコントロールしながら学校へ通っているようですが…。間に入る大人に”ズレ感”があると、Sくんは”納得”できません。納得できない事を強いられる事もまたストレスになります。

SSTソーシャルスキルトレーニング)を学ぶ時期に入ったSくんにとって「集団生活は大切な学びの場」です。不登校で家にいたら、Sくんが困って選択を誤りそうな場面を、Sくんに分かりやすいようにイラストで書いて説明してやっても意味がありません。(この活動は支援員の先生がし始めてくれている)

だから、

”特別支援が曖昧だから”→休んだらいい、

”過去に虐めがあって今も嫌がらせがあるから”→休んだらいい、

わけではないのです。

Sくんにとっての不登校は、二次障害が出た場合の「応急措置」であって、「長くその状態である事で解決する事はない」わけで、「代替策がない限りは、ただのお休み期間」なのです。

制限ができ、少人数の育成学級への逆交流は朝から1日3時間、あとの2〜3時間は普通学級で過ごします。この荒野のような普通学級に潤いを持たせて、SSTに取り組める土壌にしていく、果てしない道のりですが、粘り強く理解を求めて行くしかありません。

クラスメイトに、何があっても身体的な暴力や言葉の暴力は絶対に許されないという事、そして、Sくんの特性や行動の様子を伝えにいくのか、もしくはもう無駄だと諦めて、後半にオーバーヒートを起こす時間帯にはもう学校から早退させるのか。医師と相談しながら、判断していかなければならないと感じました……。

つづく。