かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第105話「頑張れの話」【2016年10月】

Sくんは4限目辺りからだんだん疲れてきた様子になって、午後は魂が抜けて死んでいるような状態になります。参観がたいがい5限目なので、ぼーっとしていたり、机に伏せていたり、そのまま寝ている事もたびたびありました。

医師に相談すると、「オーバーヒートを起こしているから、無理をさせてはならない。周りの目もあるから、保健室で休ませるか、学校を早退するようにするかを選ばなければならない。」と言われました。学校にも伝えていたはずなのですが……。

ある日の5限目。いつものようにSくんが疲れ果てて机に頭を伏せていると、クラスメイトの一人が「寝たらあかんよ」と声かけをしたそうです。それから、「頑張れ!」「寝ないで、絵を描いたり、他のことしたらいいやん!」みたいな流れになり、クラスみんなで応援したという報告がありました。

えーっと。。。

”今日の良かった事”として連絡ノートに書かれていたのですが、こちらからお願いしていたのは、「Sくんが学校生活の中で頑張っていた事やSくんの良かった事を知らせて欲しい」という事で……なんかまたズレ感が。

Sくんにとって、「普通に学校生活を送る」という事だけでも大変なストレスがかかっていて、「かなり頑張って」通っています。だから、「すでに頑張ってオーバーヒートを起こしているSくん」に、みんなで「頑張って!」と応援しても意味がない……。

そんな時は『保健室か早退で帰宅させるという話ではなかったかな?』と思いました。確認すると、Sくんに、”頑張る意味を伝えたかった”、Sくんに、”こんな時に頑張って!って応援するんだよ”と伝えたかったというような説明でしたが、うーん。頑張れって、運動会やなんやのエールじゃないんだから、時と場合でだいぶ受取手の気持ちが変わるワードで、デリケートな問題だと私は感じました。

Sくんの言葉を借りると、

Sくん:「頑張って!も、頑張ったね!も、いらない。頑張ってるね!って、今の僕を見ていて欲しい。」

だそうです。

うんうん。それ!

Sくんはいつも過程を見て欲しいわけで、結果なんてどうでもいいのです。だから、”頑張ったね”もいらない。ましてや、”頑張って”って、「あのー…もう頑張ってますけどー…」となるわけです。

ズレ感発見→即指摘、細かい親だな…と思われていると思いますが、こうして、小さな芽を摘み取るしかないので。ほったらかしで大きくなってからでは取り返しがつかない。

まだまだ、芽を摘む作業は続きそうです……。

つづく。