かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第119話「私がヘルプマークを付ける理由」【2016年10月】

みんなのトイレ、障害者専用乗り降り場、優先駐車場など、街の中には様々な障害者対応のエリアがあります。必要があってそこを私達家族は利用していますが、様々なトラブルにあう事があります。

みんなのトイレは、車椅子でも大丈夫な広さで、洋式トイレと、オムツ替え台、オストメイト対応トイレがあります。内部疾患がある私やかいじゅう兄弟もここを必要としている一人です。かいじゅう兄弟も一人で男子トイレへ入れないので、みんなのトイレへ私と一緒に入ります。しかし、私達の障害は見た目に分かりません。
(パパや男性ヘルパーさんがいる時は男子トイレを使う訓練をしています。)

すると、他の利用者の方から「普通のトイレの方を利用してください。」と声をかけられる事があります。相手が話して理解してくれるのか怪しい所ですが、手帳を開示して”私もここを必要としています”と伝える事もあります。それで済む場合もあれば、逆ギレのパターンもありました。『えーっと……だから、”みんなのトイレ”やんか!』内心そう思いながら私はその場を離れます。

東京へ行った時の話です。障害者専用乗り降り場を利用した所、たまたま同じタイミングで利用されるご家族がいて、付き添いの旅行代理店の方から「ここは障害者専用乗り降り場ですよ!」と叫ばれてしまいました。「私達も障害者です、なるべく早く出ますから。」と言ったら、「こっちの方が重度です!」と物凄い剣幕で迫られてしまいました。

いや……うちも障害者が3人いるわけで……。正直、どっちがより重度かは分かりません。羽田空港の障害者専用乗り降り場がこのゲートに対して1箇所しかない問題であって、誰も悪い事はしていないんじゃないかと感じました。が、その場で言い合っても仕方がないので、速やかにその場を離れました。ご家族の方は申し訳なさそうに下を向いておられました。

私の歩行が困難だったり、かいじゅう兄弟を安全に誘導する為に、優先駐車場なども利用しますが、マークを出していても、白い目で見られたり、強い意気込みで声をかけられたりします。

誰も悪くないのに、ちょっとした行き違いで物凄く気分の悪い事になる。丁寧に説明して紐解くしかありませんが、不正だと思い込んで出した槍を引っ込められなくなる人もよく見かけます。

「お前ら紛らわしいんだよ!もっと障害者らしくしろ!」

PTAトラブル時にもよくこのニュアンスの事を言われましたが、障害者らしいって何でしょうか。それ!差別だよ!って言ってしまったら火に油でどう展開してしまうか分からないのでその場では言いませんが、根本に、根強い”障害者らしい姿”というものがあるのです。

私がもっと悪化してしまったら、こんなレベルの悩みは無くなってしまうのだろうと思います。しかし、”障害者らしい姿”というやつも、日々バージョンアップしていて、街の中には、困りを抱えている人がそれと分からない姿で存在しているのだよ、と、私は叫びたい気分でいます。

トラブル時、とにかく丁寧に紐解くか、見切りをつけてその場を離れるかしかありませんが、困りを抱えた方々の、もっとバージョンアップした姿を、一般の方に知ってもらう必要があるのではないでしょうか。

もし、母が生きていたなら、「せっかく健常者に紛れられるように訓練して育ててあげたのに、なんで自ら、私だよ!私は障害者だよ!と叫ぶのか」と疑問符を突きつけられるでしょう。

紛れて無難に過ごすスキルも大切なのですが、今は昔より、グレーを認めない、白黒はっきりした世の中に変わって来ているのではないかと私は感じています。

紛れている事がイコール、紛らわしい事だと認識される可能性を感じながら、『絡まずに思いやってもらえへんかしら……』との期待を込めて、今は実験的にヘルプマークを付けて生活しています。スイス土産?オシャレな飾り?と思われたりする段階でまだまだ周知が足りませんが、私が付けて、説明して歩くのもまた周知の一歩になっているのではないかと思う今日この頃です……。

つづく。