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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第120話「障害者手帳で公共交通機関に乗るという事」【2016年10月】

私が私立の高校生だった頃、両親は私に通学用の定期を買ってくれていました。『高いな…、悪いな…、今までずっと申し訳なかったな…、障害者手帳で公共交通機関に乗れば無料なのにな…』そう感じた私はある日、障害者手帳でバスを降りてみました。

運転手:「私立通ってるくせに!定期代も払えへんのか!この障害者が!」
声はマイクを通じて、バスの中に響き渡りました。

びっくりした私は帰宅後、両親に話し、すぐに市の責任者が自宅まで来て謝罪していました。両親は私に「やっぱり通学時は定期を買うからそれでバスに乗りなさい。」と言いました。

学校の先生にも話しました。”一緒に世の中へ訴えていかないか”という話にも発展しましたが、その時はまだその勇気や心にゆとりがなくて、断りました。

バスだけではありません。昔は、役所の人の中に、とんでもない態度をとる人がたくさんいて、「この垂れ流しが!」と言われたり、迷惑そうに見下した態度を取られたり……。あれから20年経って。時代は変わりました。

公共交通機関や役所、公の場所にいる人々の態度がガラリと変わったのです。何かあったらすぐに拡散されて、問題が表面化するからでしょうか。弱者とされる人々も黙って泣き寝入りする時代から脱しつつあります。(あとは…一部の学校の先生くらいですかね…時代に追いついていないのは。)

障害者である私がまだ障害者を生んで、昔と今を比較しながら、慎重に制度を利用して、今を生きています。その昔、私の両親はどんな気持ちで定期を買ってくれていたのか、役所で暴言を吐かれても言い返さずに帰ってきてから、泣き出す母の姿、それを無言で慰める父の姿。一つの時代を超えて今があると私は感じています。

障害者手帳で公共交通機関を利用する事について、かいじゅう兄弟には、「京都市が代わりに支払ってくれているんだよ。病気があっても家の中にずっといないで、電車やバスに乗って外へ行く事を応援します!って京都市が言ってくれているんだよ。」と説明していますが、同じように考える人ばかりではない事も承知しています。

今はまだかいじゅう兄弟には大人の付き添いが必要です。しかし、先々、一人で行動するようになる時、手帳を利用させるのかどうか考えています。私や私の両親は、散々に戦ってきましたが、時代の変化を見極めながら、できる事なら「戦わずに過ごせるようにしてやりたい」と願っています……。

つづく。