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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第123話「美容院と病院」【2016年10月】

出産後、”美容より健康よね?”とか言い出したらなかなかやせなくなりましたが、化粧や、髪のカラーリングで、私は”元気そう”を作っています。スケジュール帳を眺めて、埋め尽くされた病院の予約の間に美容院へ行ける日はないかと試行錯誤しています。

私の場合、通常量の何倍もの下剤を使っているので、水分のバランスが悪い問題があります。水分のほとんど腸に行き、喉や口内は常に乾いていて、皮膚も乾燥しています。吐き気や目眩でシャワーも短時間、美容雑誌や化粧品屋さんの店頭ですすめられるようなお肌のケアに時間をかけていられませんでした。

気持ちが沈むのは入院の時。スキンケアに気を配っていても、寝たきりになってあちこちに毛が生えてきたり、薬で毛が濃くなったり。私は化粧をしないと外出しないのに、お見舞いの時、その部屋の中で私だけが管だらけ、見た目はボサボサ、まるで自分が見世物になってたようで嫌な気持ちになったりもしました。

膵臓癌で亡くなった母は、どんなに痛みがあっても眉毛は綺麗に整えていました。抗ガン剤を始めるにあたって、パーマや白髪染めをしてはいけないと言われた時は落ち込んでいました。しかしある朝、起きると髪がくるんくるんのパーマみたいになってボリュームが出ていて、大喜びして笑顔で鏡を覗き込んでいたのを今でもよく覚えています。
(稀に抗ガン剤の副作用で髪質が変わる事があるらしい。)

私達はよく「病人なんだから、もう見た目なんかどうでもいいやん!」と言われる事がありました。もしかしたら、滑稽に見えていたかもしれません、私や母が病に苦しみながら、見た目だけ健康なようになって、喜んだり、嬉しくなったりしてしまっていた事は……。でも、絶対になれない状態への憧れ、病気は治らないけど、病気は軽くならないけど、仮の姿でもいいから私達は健常な状態へ近付きたいと願い、私達は行動するのです。

生きるってそういう事じゃないでしょうか。

今日も私は病院へ行ったり、美容院へ行ったりして、私らしく生活します。それは何者も邪魔してはいけない私の生活です。誰が何と言おうが、思おうが、自分が納得いくように暮らして行こうと思います……。

つづく。