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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第126話「Sくんの成長と、死にたい病の弟Aくん」【2016年10月】

6月から始まった育成学級への逆交流を通して、Sくんは自分より年下のお友達を大切にする気持ちが芽生えたように見えます。もともとSくんにはAくんという弟がいますが、良くも悪くも、年下という扱いではありませんでした。

弟Aくんは昨年の春頃から衝動的にイライラの感情が高まると、「もう!出て行く!」と家出したり、最近は「もう!死にたい!」と泣きながら叫んで、爪をはがしたり、指の皮を剥いだりしていました。

親としては『どう対応したら正解なんだろうか…。何を言ってもますますキレちゃうんだろうな…。』と行動をすぐに選択できず。「爪…剥がしたら痛いやろ…ママ、Aくんの爪切りたいし、ちゃんと伸ばして欲しいな…」と、火に油を注がない範囲で気持ちを伝えてきました。

児童相談所の先生によると、まず、Aくんは「お父さんとお母さんの反応を予測できている」事、「対応は短時間で切り上げる」事をすすめられました。クリニックの先生からは、「伝えるならママが悲しい気持ちだけにして」と言われました。やはり、◯◯はダメとか、やめなさいと言っても効果的でないのです。

どうしたものかな…と思っていたら、かいじゅう兄弟のこんな会話が聞こえました。
弟Aくん:「もう!死にたい!死にたい!死にたい!」
Sくん:「死にたい、死にたい、死にたいって、お前、死に方知ってるんか?!」
キョトンとしてレゴをし始めるAくん。Sくんの反応は予測外のようでした。

またある日の事。
弟Aくん:「死にたい!」
Sくん:「だから、お前、死に方知ってるんかって!」
弟Aくん:「じゃあ、死に方教えてよ!」
Sくん:「教えるわけないやろ!死んだら困るし!Aくんは大事な弟や!」
キョトンとしたまたレゴを始めるAくん(笑)。

またある日は、SくんがホームビデオのAくん誕生編を出してきて、「こうやって祝福されて生まれて来たんだよ、Aくん、めっちゃ可愛いやん!」と語って、気がつけば二人でホームビデオを見て笑っていました。

Sくんが奇想天外な返答で短時間でその場をやりこなすので、Aくんはごねるのを忘れてしまうようなのです(笑)。
私:「Sくん凄い!ママ助かったわ。ありがとう!!」
嬉しそうにニッコリするSくん、死にたい病から解放されて暴れるのをやめる弟Aくん。一石二鳥!かいじゅう兄弟は不思議なバランスに突入し始めました。

自閉症スペクトラムADHDがあると、コミュニケーション下手であるように見えたり、周りを気付かえないように見えたりするかもしれませんが、本当は、自分をコントロールしにくくて困っているだけで、優しい子じゃないわけでも、自分勝手なわけでもないんです。

ちょっと不器用な器の内側に、優しくて柔らかな心がある。その心を傷付けないように、毎日ああ生きてて良かった〜(楽しかった〜、嬉しかった〜、美味しかった〜、心地良かった〜、など)を繰り返したら、弟Aくんの死にたい病も消えてなくなるんじゃないかな?と期待しつつ、かいじゅう兄弟に助けられながら私も成長する今日この頃です……。

つづく。