かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第130話「ペアレントトレーニングの辛さ」【2016年10月】

最近、Sくんがパパに、憎たらしい言葉をふっかけるようになって来ました。これも成長の過程の一つだとは思いますが、仕事で疲れて帰って来て、反抗的に次々ぶつけられた方はたまったもんじゃありません。また、パパの方も相変わらず、必要以上にSくんに怒鳴ってしまったり、ちょっかいを出してしまっています。微妙で不器用な二人の関係。

お互いなんらかの形で絡みたい、けれど、出せるカードがない、そんな感じがします。Sくんは「パパは嫌いじゃないけど、心が遠い」と話していました。「いくら投げかけても遠くて、飛距離が足りなくて届かないから、落ちたら拾ってママが届けて」と言いました。なるほど。

キャンプや映画館、温泉施設など、フォーマットが決まっている場所ではうまく行くようなのですが。家が一番落ち着かないらしいです。

……熊本で昔、私が感じた感覚を今パパは感じているかもしれません。

障害の特性への正しい対応がいくつもあって、それをまずは守らなければならない、しかし、守ったとしてもうまくいかない事もある。家族で対応しきれない、限界か訪れた場合は、施設を利用する事も視野に入れながら、今は大人の方が感情をセーブして正しい対応を続けていくのみ……。ペアレントトレーニング、そこには、言葉にしがたい辛さがあります。

今は届かなかった不器用カードを私が拾って届けながら、なんとかギリギリ家族で暮らしています。Sくんとパパ、互いの努力はいつか必ず実になる、子供時代に母とうまく付き合えなかった私は、今、そう感じています。

母の背負った”障害児をいつか自立させなければならない”という荷物は、私が結婚した時に半分おろされ、残りは子供が産まれた時になくなりました。母はやっと”ただの優しいおばあちゃん”になれたのです。母が普通のおばあちゃんでいられた期間はたった7年間でしたが、安堵の時だったと思います。
(もちろん、結婚や出産以外の方法もあると思います。)

私やパパがいつどのような形で安堵するかは分かりませんが、いつか実るはずの実を必ず実らせる努力を続けていこうと思います……。

つづく。