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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第153話「コンサータをやめてみて。」【2016年11月】

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Sくんがコンサータをやめて一年以上が経ちました。2年生の秋、医師の指導の元、徐々に減らしていきました。やめてすぐに現れたのは、「思った事を口にするようになった事」でした。発言できてストレスが溜まりにくいメリットもあれば、言い過ぎてしまうデメリットもありました。それまでは人形のように黙っていたのに、一変、クラスメイトに戸惑いが広がりました。その後、虐めにあって、二次障害に苦しんで、不登校にもなりました。

3年生になって。再びSくんは学校へ通い始めました。障害者差別解消法の施行もあり、Sくんへの具体的な特別支援が始まりました。先生も家族も、大人は本気で連携していきました。最初は登校中や授業中に吐いたり、保健室や個別教室で過ごす事もありましたが、育成学級への逆交流が始まり次第に様子が落ち着いていきました。

思った事を口にするSくんに、周りを見て行動して欲しい、相手の気持ちを察して発言して欲しいという先生方の想いも知りました。私は「Sくんには発達障害があるから、周りが見えない、相手の気持ちを考えて行動できない」と思っていました。対処法として、SSTソーシャルスキルトレーニング)を導入していただいたり、何かあるごとに都度、先生が双方の話を聞いてくださったり……。そんな中、Sくんに変化が現れました。

嫌がらせを繰り返すお子さんについて「◯◯くんと仲良くなるために」という題材で話し合いが行われた時の事でした。その日、当事者のお子さんはお休みでした。あんな事をされた、こんな事が嫌だったけれど今まで言えなかったと、皆が話す中で、Sくんは……
Sくん:「おれは◯◯くんがいない時に話し合いをするのが間違ってると思う。おれなら、自分がいない時にこんな風に言われたら嫌だ。おれも◯◯くんに嫌な事された事あったけど、仲良くしていきたいなら、相手の悪い所ばかり上げるのではなくて、良い所を見つけていかなきゃならない。おれは◯◯くんが大丈夫?って声をかけてくれたり、サッカーに誘ってくれたり、優しかった所を知ってる。」
その日から周りの雰囲気が変わって、みんな優しくなったそうです。

Sくんは前より強くなりました。「強い心を手に入れたんだね」とクリニックの先生が言いました。コンサータをやめてみて、Sくんは思った事を口に出してしまう衝動的な自分に出会い、約一年かけて、そんな自分と共存するようになっていきました。Sくんはけっして周りが見えないわけではなく、衝動的な一面へのコントロールに慣れていなかっただけだったんだと、私が気付かされる出来事でした。

これからもSくんは、浮いたり沈んだり、様々な出来事を体験し、様々な自分との出会いを経験しながら、成長していくんだなと思います……。

つづく。