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かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第205話「適材適所」【2017年1月】

Sくんのこと パパのこと ママのこと

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パパが初めて、児相の診察へ一緒に来てくれました。Sくんとの関係について、本質を整理して、アドバイスをもらっていました。大きな第一歩でした。我が家はヘルパーさんの助けももらっていますが、私が病児ケア担当、パパが家事担当になっています。以前に、「もっと病気の子供達の事を理解するように勉強して欲しい」と伝えた所、「三日考えさせてくれ」と言われて出た答えが、「俺は家事を担当する!」でした。ある意味、適材適所。私は自分の体調を管理しながら、家事をと仕事を少しして、発達障害のある子供達に対応する。パパは外で働いて、帰ってきたら残り家事をしてくれます。

Sくんの症状を整理すると、自閉症スペクトラムADHDの併発に加え、LDがあり、この3つが重なった時点で、だいぶ稀なケースになります。普通の生活やルールに”当たり前に合わせる事”が大変なストレスを引き起こしている為に、強迫性障害や嘔吐等の二次障害も出ています。しかも知的な障害はなく、発達指数は伸びているので、理解されるまでに時間がかかり、特別支援の開始も遅れました。本人の困りが、周りに伝わらないのが、一番の困難です。

健常の枠にハマるように、健常者に近づくように支援してきましたが、もしかしたら、それ自体が大きなストレスになっているんじゃないかなと感じる事もあります。世の中に障害がある方の数が少なかったから、数の多い健常の方の社会のルールに合わせるのが当然になっている。例えばSくんが時間通りに物事を追行する事にストレスを感じたり、その時に何かに取り組みたい事があったり、こだわりが強く出て、人を待たせたりする事があれば、当然、社会のルールにハマらない、待たせるSくんが悪いと評価されるわけです。でも、Sくんの側の人間がたくさんいたらどうなっていたでしょうか。

アメリカでは退役軍人が戦場で負傷して、障害を負って帰って来て、施設でみるのか、地域に帰すのかという問題が起きました。始めは”治ってから地域へ帰って”というやり方をして、そうしたら”いつまでも治らず帰れない”、本人達は”家に帰りたい”想いから運動を起こしました。今、健常に近づくようにとSくんに教えていますが、それは、それで合っているのか。今までやって来た事、今やっている事、これからやる事に間違いがないのか、常に「間違いがあるのではないか」と立ち止まり、振り返りながら対応しています。

仕事から帰ったパパはSくんに、「宿題をしろ」「片付けをしろ」と言います。宿題をするのも、自分が出した物を片付けするのも、当然の事ですが、Sくんのような障害がある人達は、タスクが増えるとパニックを起こし、拒絶する事があります。だから、Sくんは必ず「今、遊んでる!」「宿題は後でする!(と言ってももう9時くらい…)」、「片付けなんでせなあかんの?」と言って泣き叫びます。

ATACのセミナーで聞いた話ですが、世の中にはミッション型の人とタスク型の人がいます。仕事をする時、たいがいはミッション型で物を伝えられ、それを整理して行動に移します。私のようなフリーのデザイナーもそうです。依頼をタスクに整理して、何からどんな順に取り組めば、より効率的か考えます。でも、Sくんが大人になった時、ミッション型で仕事を言われたら、パニックを起こして、二次障害が起きて、その場からいなくなってしまうかもしれません(そうならないかもしれません、あくまで仮定)。未来のSくんがタスク型で仕事を得られるように、誰かがミッションを適材適所のタスクに整理して伝えてくれたらといいなと思うのです。発達障害がある大人の人が適材適所で仕事を得て、ゆくゆくは、生活保護を受けなくても生きていけるようになれば、回り回って社会全体の為になる、ATACを通して、私もそれを強く感じました。

今、様々な理由で生活保護を受ける人が増えています。本当に働けない人もいれば、工夫(支援)すれば働ける可能性があった人もいます。みんな無理をする必要はありません。適材適所を見つけて、タスクをこなしていけたらいいなと思うのです。得意を見つけてそれを仕事にする…と言うと、夢や、なりたい自分をずっと追いかけ続けて…と思われる事もありますが、そうじゃなくて。人よりできる事、工夫や支援があればできる事、どうしてもできない事を整理して、仕事に繋げていく事が、障害があってもなくても大事な事だと思うのです。

Sくんの生きる道が少しでも苦しくなくなるように頑張ります……!

つづく。