かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第237話「Sくんにはズル賢さがない」【2017年3月】

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昨日もまたSくんは、お腹を殴られて、足を蹴られて帰って来ました。Sくんが言葉による嫌がらせに応じなくなって来たから加害者側は手を頻繁に出すのか、ただ単に長引いている虐めがエスカレートしているのか……。

Sくんは真っ直ぐで不器用な人です、とにかく失敗が多い。そんなSくんを見て育った弟Aくんは、器用な人になりました。失敗を恐れて、「わかりません」も言えないし、失敗を隠すようになりました。

Sくんは嘘がつけなくて、定型の人の繰り出す嘘を信じてしまって、バカにされたと泣いて、バカにした人の心の内を必死に問います。向こうはふざけただけだったり、大した事じゃないってビックリしたり。先生も「冗談だよ、慣れなさい」って言うそうです。

ズル賢くなれれば、もっと人生は楽かもしれません。

Sくんは自分の事も掘り下げがちですが、他人の事も自分の事のように悲しんだりします。優しさもあるのかもしれないけれど、たぶん、障害の特性として、「人との境界線が分からないのだ」と思います。だから、思わず、抱えすぎる。

Sくんは真面目なのです。真剣に、様々な問題を見過ごせないでいる。だから、「ほっとけばいい」とか「気にすんな」とかの定型用のアドバイスは心に響かないし、そもそも意味も分からないと思います。

Sくん:「熊本でも虐められたやん……それで京都へ引っ越したやん……。熊本のおじいちゃんやおばあちゃんに毎日会えなくなったやん……。ぼくはそれが悲しかった。ママはどう思ってるの?」

私:「熊本のおじいちゃんおばあちゃんに毎日会えないのは申し訳ないと思ってる。なるべく熊本へ旅行できるように頑張るよ。ママはあの辛い目にあった時、ズル賢いから、”あ、これで京都へ帰れる”って心の中で思ってた。あそこに住んでた人達はママ達に”ここから出て行け!”って言ってたけど、熊本地震が起きて、引っ越しでこの地震を避けたとママは思ったよ。」

Sくん:「ぼくはそんな風には思えない。◯◯ちゃんも◯◯くんもみんなお家がなくなってた。きっとみんな地震が恐かったと思うし、今も辛いと思う。ママは……悪魔なの?」

Sくんからしたら、私のスタンスは悪魔とうつってしまったようでした、笑。悪魔かもしれません、でも、そのくらいに構えていないと、確実に潰されていたと思います……。

つづく。