かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第280話「冷たい世界の中で」【2017年6月】

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* * *

ある日、弟Aくんとの通院帰り。二人ともぐったり疲れて地下鉄の優先座席に座っていました。カバンの中には、二人分のヘルプマークと、二人分の障害者手帳もあります。
(最近はヘルプマークを必要な時に出して提示するようにしています)

座ってすぐ、次の駅から、片足が完全に動かないような状態でしっかり腕に固定する形の杖をついた男性と、その方を介助する家族らしき女性が乗ってきました。杖にはしっかり見える位置にヘルプマークが付いていました。

混み合った地下鉄の中で、歩きにくそうに移動する二人を、明らかに迷惑そうな表情で見る人々。人混みにぽっかり穴が空きました。もちろん、誰も席を譲る気配はありません。

弟Aくん:「あ!ママと同じ、ヘルプマークだね!」
私が立つと、弟Aくんが言いました。
弟Aくん:「ママ、どうしたの?もう降りるの?」
私:「いや違うよ。降りないよ、座ってて。」

私が二人に声をかけに行き、弟Aくんを詰めさせて、二人に座るように促しました。

弟Aくん:「ママ、みんな見てる。コワイ。」

弟Aくんが下を向いて震え出しました。

弟Aくん:「(小声で)なんでみんな睨むの?ママは悪いことをしたの?ママは平気なの?ママは同じヘルプマークを持ってるのにどうして立ったの?ぼくは座ってていいの?」
私:「うん。ありがとう。それじゃあママのカバン持っててくれるかな。」

ずっと刺さる冷たい視線に、もうオバサンな私は何も感じませんが、弟Aくんは辛くて痛くて、耐え難かったそうです。世の中は冷たい、当たり前の事をするには勇気がいる、そんな話をしながら帰り道を歩く弟Aくん。貴重な経験をしたね、と思いました……。

つづく。