かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第599話「物を壊す事」【2018年5月】

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かいじゅう兄弟が、物に当たる様子をよく見かけます。Sくんはせっかく作った作品を破いたり壊したりして、"元に戻して"と泣きます。弟Aくんは近くにあるゲーム機や家電を投げたり蹴ったりして破壊します。何度か窓ガラスも蹴って外しました。やってしまったら怒りはおさまるのか、大人しくなってじっとこちらを見てきます。が、謝りはしません。淡々と、"こうなったのは自分のせいではないんだ"というような事を話します。


Sくんはパニックになりやすく、弟AくんはADHDが強い。……症状として予測できる範囲の出来事で、医師に相談しても"あるある"、"よくある"、"あって当たり前"という返答です。長時間泣き叫ばれ、振り回され、高額な家電を買い換える私達は、あるある~では納得いきません。どうにか再発防止したいわけですが、いつも気が付けば、振り回されてボロボロになった後。疲弊しながら後片付けです。


……でも。私にもありました。


高校生の頃です。手や腕をカッターで切ったり、髪の毛を抜いたり。お腹を自分で拳で殴ったり。アトリエで作ってきた、しかも褒められた作品をめちゃくちゃに破壊していた時期。壁になげつけ、手が切れて血が出ても、それを壊す衝動は収まりませんでした。後片付けはゴミ袋に全部入れるだけ。大人は見て見ぬ振りをして、関わらないようにしていました。ただ一人、採血をしようとした看護師さんが服をまくった時に、「大丈夫じゃないよね?話してくれないかな?」と声をかけてくれましたが、私は無視をしました。


助けて欲しかったのか、SOSのサインだったのか。とにかく、自分の中の衝動を、自分では、抑え切れませんでした。今思うと、精神科にかかるべきでした。お薬で防げた物もあったかもしれない……。


だから、かいじゅう兄弟に、精神薬を飲ませる事に抵抗はありませんでした。医師が判断する範囲内で飲めばいいと考えています。でも、今のかいじゅう兄弟の様子は、効いているのか、足りていないのか分からないような状況になりつつあります。


本当は、「大丈夫じゃないよね?話してくれないかな?」と声をかけ、責任を持って話を聞き、問題を解決してやれば、ストレスは無くなり、物に当たる事も無くなるのかもしれません。


しかし、それは理想であって、現実的じゃない。


成し遂げるまでに時間がかかるのと、対応したのが家族だった場合、24時間体制で、いつか、ボロボロになってしまう……。


私の場合は。学校へ行かない、休む、という選択をもっと早くすべきでした。クラスではずっと浮いていたので行事で力を合わせる!とかは気が狂いそうでした。あと、学習障害があったのに必死に勉強して、それでも何も身に付かなくて。ただのバカ扱い。勉学が必要な国立大を受けて落ちて浪人して、のちに、芸術だけの試験で私立に受かり大学生になったのですが……。アホだから仕方ないけれど国立へ行けなかったので、未だに奨学金を返済しています。振り返れば忍耐と無駄の繰り返しで、疲弊して。何だったんだろう?という感じで。毎日、ずっと、全てに、物凄い怒りを持って、腹を立てていました。


かいじゅう兄弟もそうなのかもしれません。毎日、ずっと、全てに、物凄い怒りを持って、腹を立てている。


合わない世界に無理矢理合わそうと、そこにいようとするには限界がある。


薬を飲んで済むくらいの範囲ならいいけれど、もし、そうでないなら。定められた線路から、ドロップアウトする道も考えなければならないと思うのでした……。


つづく。