かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第649話「抜毛症」【2018年7月】

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* * *


そうなる事を想像する事ができない。


それがパパの障害なんだと思います。


ある日、セロファンテープを使って工作をしている弟Aくんに、パパが小さいテープをあげました。


弟Aくん:「パパ、ありがとう!小さいけど、これがなくなったらどうしたらいい?」

パパ:「また買ってあげるよ。」


数十分後……


腹を立てながら泣き出す弟Aくん。どうしたのか見に行ったら、工作がうまくいかないと。


私:「ちょっと見せて……。」


よく見ると、パパが弟Aくんに与えた小さなテープは、セロファンテープではなく、かなり弱いマスキングテープでした。


私:「工作がうまくいかないのは、このテープのせいだよ。ママが剥がして、直してあげるよ。」

弟Aくん:「パパはなんでこんな使いにくいテープくれたんや!腹が立つ。こんなもん、いらん!」


確かに。こんなもん、いらんだろう。。


そこへパパが来て。


パパ:「どうした?うるさいな。」

私:「パパがあげたテープ、粘着弱くて、工作うまくいかなくて泣いてるよ。」

パパ:「はぁ?そりゃそうだろ。それ、マスキングテープだぜ。ばっかじゃねーの?(笑)」


声を上げて泣き出す弟Aくん……

身体や脳が熱くなるように腹が立ち始める私……


私:「これは、仮止め用のマスキングテープだから、工作には使えないってAに説明した?」

パパ:「してねーよ!」

私:「だったら、こうなる事、予想できるよね?これがマスキングテープと知らずに工作をしてしまうと、うまく行かずに泣き出すって。」

パパ:「はぁ?なんで分かるんだよ!」

私:「Aは子供だから、これがマスキングテープだと説明しないと使い方は分からないよ?」


無視して漫画を読みだすパパ……


私:「工作している子供に、これを使え、と、渡したものがマスキングテープって。意味が分からないわ。失敗させて、泣かせる為に、この小さいテープ、Aにやったんか!!!」

パパ:「はぁ?!そんなわけないやろ!なんなんだ!腹立つ事、言うなよ!」

私:「このテープ渡した意図が分からないって言ってるんだよ。」


睨みつけ怒りだすパパ。


パパ:「お前ら、うっせーよ。お前が全部悪いんだよ!」


……なんでやねんな。


私が、パパが弟Aくんに小さなテープを手渡しした時に、それが本当に工作に使えるか、確認を怠った事による出来事、かよ?これ。


『そうなる事を想像する事ができない。それがパパの障害なんだ』と思います。


そしたら、私のこの怒りはどこへ行くんでしょうか。


とにかく一人にならなくちゃ。寝室へ行きました。何かに当たりたくても、部屋には大切な物しかありません。誰にも迷惑をかけず、この部屋の中にある大切でない物……それは私の身体しかありませんでした。


気がついたら、たくさん髪の毛を抜いた後でした。髪の毛を抜く、自分のお腹を拳で殴る、頭を壁に打ち付ける、カッターで手を切る、……昔よくやったなと思い返しました。思い返せるくらい、だいぶ精神的に落ち着いたんだなと思いました。


しばらくして……

弟Aくん:「ママ……ぼく本当にパパが嫌いや……もう無理や。」

私:「うん……ママも嫌いやわ。」

Sくん:「俺なんてもうずっと前から嫌いやで!」

泣き出す弟Aくん。

弟Aくん:「優しかった、意味の分かるパパに戻って欲しいよ……あの頃のぱパパはどこへ行ったん?」


パパに何か変化があったわけではありません。ずっとトンチンカンで、ああです。つまり、弟Aくんが成長して、気付いてしまったのです。


なんだかとても疲れました。そういえばこの日、私は体調も悪かったのです。


残念ながら今回も、パパに学びを与える事は出来ませんでした。あのままやり合っていたら、私が、言ってはいけないタブーな言い方をしたりして、争いは長期化していたと思います。


身体に当たるしかない強烈な怒りに久しぶりに出会って、弟Aくんが自殺したがる理由や気持ちを、私は本当は知っていると痛感しました。


でも、

だから、

どうするん?


分かりません。


分からないふりをして、また朝が来て、夜が来て、朝が来て、夜が来て……家族ごっこを続けていたら、また、近いうちに衝突は訪れるのでしょう……。


つづく。