かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第719話「だから?」【2018年9月】

ご訪問いただき有難うございます。これからもよろしくお願いいたします。


* * *


よその障害者の凄い人たちの話を、自分で本で読んだり、自分でテレビで見たりする時は、すうっと内容が入ってくるのに……。


健常の誰かから直接私へ「こんな凄い身体障害の人が、こんな努力をしたんだよ!」「こんな発達障害の人が天才的な特性を生かして成功して、立派に活躍しているよ!」と話されると、微妙な気持ちになります。


……捻くれ者の私は『だから?』と、なるのです。


私は重度身体障害者として、発達障害のかいじゅう兄弟の保護者として、言葉を受け取りますが、『この健常の人は私に何を言いたいんだろうか?』と思ってしまうのです。


"だから?"と続きを聞いてみると、「Sくんの天才的な部分を早く見つけて伸ばしてやって!」「道はいくらでもあるんだから、ちゃんと努力して調べて、間違いのない人生を歩ませてやって!それは親の責任だ!」との事……。


私:「いやいや。Sは天才ではないし、私達は既に努力を続けているし。そのテレビに出ている障害のある天才の方は、本物の天才だし、私達とは違うよ。それに、生まれた環境にも恵まれているし、経済力もある家庭だったのでは?と思うけど?……その重い学習障害のある天才の人は、学校はどうしたの?中卒?高卒?大卒?障害基礎年金は受けているの?国民年金の支払いは?自宅は?家賃は支払えてる?もしかして、実家にいるの?どこまで自立した上での話なのか知りたい。」


と聞いてみたら、相手は詰まってしまって。結局、発達障害児=天才児→天才を発掘していない=親の努力不足、と言いたかったのか……?変な雰囲気になってしまいました。


私に繰り返し天才の話をふってくるのは、私の父です(笑)。


NHKをよく見ているので、たびたび身体障害者発達障害の事を番組で見ては、私に電話してくるのでした……。


昔、乙武さんが大ヒット本を出した時も、父は真っ先に買ってきて、私に読めと言いました。読んでみて、中学生だった私は『こんな凄いスターみたいな重度身体障害者が出てきたら、比べられる……こわいな……。』と思いました。


父:「どうだ!凄いだろ!M(私)よりずっと身体が悪い人がこんなに頑張って成功しているんだ!M(私)も見習って素晴らしい人になりなさい!」

私:「お父さん、私に期待しない方がいいよ。私は天才ではない。素晴らしい人にはなれない。乙武さんは計り知れない努力をしていると思うけど、家族も、学校の為に一緒に引っ越したり、たくさんお金をかけたんだなと読んでいて思ったよ。お父さんも私が今イヤになっているこの学校をやめたいとか、引っ越したいと言ったら協力してくれる?」

父:「え?……お、お父さんは僧侶だから、お寺から引っ越せないぞ。」

私:「……そうだよね。分かった。」


後に乙武さんがスキャンダルを起こすなんて、中学生の私は想像もしていませんでしたが。あのスキャンダルで、『あ、天才もやっぱり人間なんだな……』と私は安心しました。


障害があると、何らかの工夫や配慮が必要で、健常の人達とは違う人生を歩むのは明らかです。中には天才的な能力を発揮する人もいると思うけれど。ごく僅かで。それは、健常の人達の中から天才が生まれる確率とそう変わらないのではないかと私は思います。平凡な障害者が大多数だよと思うのでした。


こんな凄い障害者がいるよ!!


……だから?何?


と思いながら受け流す毎日です……。


つづく。