かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第773話「Sの気付き」【2018年12月】

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* * *


S:「ねぇ、ママ。ちょっと聞きたい事あるねんけど。」

私:「なに?」

S:「ママはずっと昔から、ブスにブス、ハゲにハゲ、バカにバカって言ったらアカン!って言ってきたよね?」

私:「うん。そうだよ。SやAみたいな発達障害かかえた子って、見たこと感じたことそのまま口に出してしまう事があるから、気をつけさせて来たよ。」

S:「……それは、ブスにブスって言ったって、相手が気分が悪いだけで治ったり変わるわけじゃないし、プラスがないからダメなんだよね?」

私:「そうだよ。」

S:「俺さ、クラスのみんなから"お前空気読めないな!"って言われる。毎日、何回も。みんなから。」

私:「……うん、それは……嫌な気分かもしれないけど、Sって、場面に合わない事言ったり、状況判断間違えたりがあるから、きっと何かしてしまったのではないか、と、ママはその場にはいないけど思うよ。」

S:「うん。何かしたのかも。でも、空気読めないからわからない。」

私:「あ、うん。」

S:「ママが近くにいたらきっと説明してくれるけど、学校に親切な人はいなくて、みんないつも怒ってる感じ。特に女子。」

私:「あ、うん。女子、そういう時期やねん。男子にキツく注意する、みたいな。あと、みんな五年だし基本反抗期で、イライラを八つ当たりしてるんじゃないかな?つまり、Sは何かしたとは思うけど、説明はないし、言い方もキツ過ぎる。それは向こうの問題。」

S:「うん、それは担任の先生も言ってた。みんなの態度は八つ当たりだって。」

私:「うん。」

S:「あのさ、俺、毎日学校行きたくないくらい辛い。死にたいくらい辛い。」

私:「うん。」

S:「でも受験!みんなとお別れできる!って思ってから、勉強楽しいから学校休むともったいないから、学校には勉強しに行ってる。」

私:「うん。」

S:「ブスにブスの話だけど、ブスにブスって言ったらアカンのと、空気読めない俺に、空気読めないって言ったらアカンのは同じじゃないの?それ、言っても、何の意味もない。治らない。俺、傷付くだけ。」

私:「なるほど。」

S:「気付かせてもらうのは大切かもしれないけど、親切じゃない人から言われるのはとても辛い。どうしたらいいか分からない。」

私:「うん。」

S:「あと!前は、★★くんが虐めするから、嫌で、★★くんに従うみんなが嫌で、受験でお別れで嬉しかったけど。今の問題、空気読めないのは俺だから、受験して新しい所へ行っても、空気読めないのは俺だから、また同じ事が起きる?★★2みたいなのがまたいて、またやられて、また空気読めないって言われる?」

私:「うん……それは、ないとは言えない。どこにでも嫌な奴はいる。だけど、メンバーは違うから必ず同じになるとは言えない。あと、Sも成長するから、同じにはならない。空気読めないの話は、ごめん、確かにそう。ただ、空気読めないらしい自分に気付いたから、気をつけて行く事はできると思う。マニュアルみたいな。経験はマニュアルになる。二度、全く同じ間違いはしないようになる。演技するみたいな感じ。外でオンにする。」

S:「うん。今もそれしてる。家の本物の俺と、学校の俺は違う。玄関の扉で、オン、オフ、なる。」

私:「うん、よく頑張ってるよね。個人懇談でも、社会頑張ってる話と、礼儀正しい話、聞きもらしや心配事は担任の先生に確認に来る話を聞いたよ。先生がとても褒めてくれていたよ。」

S:「先生が知っててくれて良かった。」

私:「うん、良かった。」

S:「でも、どうしよう。心配。不安。吐きそう。胸と肺、痛い。」

私:「うん、何でもすぐには変わらないし、自分も成長できないから、それはしばらく続くかもしれない。不安な気持ちがママは分かるよ。ママも集団の中で過ごすのが得意じゃなかった。だけど毎日歩んでる。前に。……あ!!!」

S:「なに!!!」

私:「パパ!見てみーや。空気読めないのに、仕事バッチリできてるんやで!」

S:「あ。ほんまや。仕事中、オンなのかな?」

私:「そう。多分。自分の中でマニュアルある。あと真面目で、即対応する仕事人間だから、頼りにされてる。更に頭はいいから今も次々と資格試験に合格してる。」

S:「すげぇな。」

私:「すげぇよ、笑。」

S:「ストレスあるやろな。」

私:「そりゃ、あるわ。」

S:「だから、家でオフであんなんなんかな。」

私:「そうかも。……いや、ストレスあったら、Sに冷たく当たっていいのか、という部分は違うと思うけど?」

S:「うん、そうやな。」

私:「えっと。話もどすけど。空気読めなくても大丈夫。自分の中にマニュアル作るしかない。あと、親切な人、いい友達には、生きてさえいれば必ず出会う。Sはまだクラスで出会ってないだけ。療育や病院や小集団活動で出会う子、みんないい子やろ?」

S:「うん!」

私:「今、辛いと思うけど、頑張ってると思うけど。くれぐれも頑張りすぎずに。」

S:「うん。」

私:「ほどほどに。抜くとこは抜いて。テキトーも、さぼりも大切。」

S:「うん。なんとかなる気、してきた!」

私:「うん。良かった。ママはずっと後ろから応援してるから。何があっても大丈夫だよ。」


というわけで、Sは今日も頑張っているのでした……。


つづく。