かいじゅう兄弟

二分脊椎症のママと発達障害のかいじゅう兄弟が繰り広げるドキュメンタリー

第783話「ある日の道徳で」【2019年1月】

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* * *


教育は、私が子供だった30年前とだいぶ変わりました。一番変わった事は、"記憶が良く、処理する速度が速ければ、テストで点が取れる"だけでなく、"授業内で話し合う場面が増えた"事ではないでしょうか。私はそれが得意なので、「産まれる時代を間違えた!」と思っていますが、コミュニケーションに障害のあるSくんは、今、毎日の話し合いの場面で悩み、苦しんでいます。


ある日の道徳で……


先生:「外国の人と日本の人が交流する為にはどうしたらいいか自分の考えを答えてください。」

(Sくんが当てられて……)

Sくん:「……。」

クラスメイト:「おい!早く答えろや!」

笑い声。

Sくん:「……。」

クラスメイト:「俺たち待たせた時間返せや!」

笑い声。

先生:「あ、Sは後でいいです。」

笑い声。


Sくんはまず「交流という言葉の意味が分からなかった」そうです。それから、「交流は仲良く交じり合う事だよ」と伝えても、「何をしたら外国の人と交じり合って仲良くできるのか、外国の友達もいないし、相手の事を知らないし、分からない」と言いました。「先生に、交流って何ですか?と聞いても良かったのでは?」と言ってみたら、既に急かされて笑われている状態ではそれを言えなかったそうです。ちなみに、Sくんが私と話した中で言った、"相手を知らないから分からない"はそれで良くて、それを答えとして言っても良かったんだよ、"相手を知る事は仲良くする時にはとても大切だよ"という話をしました。


ちなみに、隣で聞いていたパパは……


パパ:「外国に金を配ればいい。」

私:「そしたら…今話題の隣国との問題、請求されただけ全部支払うの?」

パパ:「え?」

Sくん:「お金を配っただけで本当に仲良くなれるの?」

パパ:「え?」


学校の道徳の授業のめあてを私は知りませんが、Sくんは言葉の意味が分かればちゃんと話し合いができます。だから、学校での話し合いの場面がある授業には、本当は、予習や準備が必要だなと思いました。


Sくんは「恥をかいた」と思ったそうです。あと、「道徳が嫌い」だそうです。


でも、人が答えようとしているその時間を待てずに、早く答えろ!時間を返せ!と言い出したクラスメイトたち、その様子を笑っていたクラスメイトたちは、そっちの方が、恥ずかしい事をしたんじゃないでしょうか。道徳って何だ?と思います。道徳心があるかどうかではなく、教科書の意図した所を適切な速さで答えられたら良いのであれば、それは、私が30年前に体験していた"記憶が良く、処理する速度が速ければ、テストで点が取れる"と同じなのです。


私:「あんな、あんたのクラス、荒れてるやろ?あと、ぶっちゃけ馬鹿ばっかりやろ?」

Sくん:「うん。」

私:「授業中、周りが静かにできない中で、一生懸命に考えようとして、それをちゃんと覚えていて、家に持ち帰って、今、話し合えたんだから、大丈夫だよ。Sは話し合える人だし、自分の意見がある人だよ。周りが聞く耳、待つ力を持ち合わせていない馬鹿だっただけだよ。だから、すぐには無理と思うけど、"気にすんな!"」

Sくん:「うん。分かった。この事は解決した。もう気にしない。前に進む。」


ちなみに来週は参観で道徳があります。参観で同じような事がないように、話し合いの授業の予習や準備について、私から先生に伝えようと思いました……。


つづく。